北斗星乗車記 プロローグ
北斗星に乗りたい
自分で撮影した電車の写真をいつも眺めている息子。
カシオペアにも沢山の撮り鉄が集まっていて、更に寝台列車への興味が増したようです。
「もうすぐはくたかは廃止になるね」と声を掛けたら、「はくたかだけじゃなくて、北斗星もトワイライトエクスプレスも廃止になっちゃう。おとうさんはブルートレインに乗ったことあるの?」
「昔、大阪から東京まで乗ったなぁ」
「え~っ!いいなぁ!北斗星が廃止になっちゃうから、今乗らないとぼくは一生ブルートレインに乗れないんだよね・・・」
風呂につかりながら寂しそうな眼を向けられました。
「乗りたい」「乗せて」と言われたら、「お金が無いからダメ」と言っていたかもしれません。
「乗れないんだね・・・」と独り言とも問い掛けともとれる呟きに何とかしてあげたいと思ってしまいました。
息子を北斗星に乗せてあげよう
嫁さんに北斗星に乗せてあげたいと相談すると、当然費用の問題になります。
現在住んでいるのは2DKの賃貸マンション。
わたしたち夫婦は41歳と38歳の時のバツイチ同士の結婚でした。
年齢からして、わたしは子供をつくる気は無かったので、夫婦二人なら十分な広さです。
しかし、嫁さんは子供が欲しかった。
高齢での出産、育児は大変だけど、どうしても子供が欲しいと言うので承諾。
切迫流産で入院したりと大変でしたが、無事に生まれてくれました。
子供が育ってくれば、当然手狭になってきます。
ここへ越して来たのが2月だったので、2年毎の2月に契約の更新があります。
そろそろ子供部屋が必要だろうからと、今年は引越すつもりで貯金をしていました。
引越しをやめれば費用は捻出できそう。
自分の部屋を欲しがり始めていた息子に、北斗星と自分の部屋とどっちがいいか尋ねると「北斗星!」と即答。
嫁さんと協議の結果、北斗星に乗る事にしました。
北斗星の予約
初めは簡単に考えていました。
『北斗星 予約』で検索。
ネットでは寝台列車の予約は出来ない事を知りました。
次の日曜日にみどりの窓口へ行って北斗星の切符を買う事にしよう。
誕生日のプレゼントに買う予定だったカメラも、北斗星に乗る時に持って行けるように、誕生日前に買う事にしました。
北斗星の指定席はプラチナチケット
1月25日、カメラの下見を兼ねて秋葉原のびゅうプラザを尋ねました。
1ヶ月前から切符を発売しているので、2月25日までの切符は買う事が出来ます。
売り切れている事など露程も考えていなかったわたしは、当然買えるものだと思い、「2月20日の上野発の北斗星で、デュエットとソロひと部屋づつお願いします」
担当してくれた受付の女性はメモを取り、「空席を確認しますので少々お待ちください」と言って、奥にある端末をカタカタ。
「申し訳ありません。満席です」
「えっ?満席ですか?では13日は?」
「少々お待ちください」
カタカタカタ・・・
「2月25日まで全部調べましたが、個室は全て売り切れですね」
わたしはこの時に北斗星の切符がプラチナチケットなんだと知りました。
「開放寝台なら少し残っていますが、個室は今の所取れませんね」
「そうですか。そうすると、次の金曜日は27日だから、明後日の朝にここに来れば2月27日の個室を取れますか?」
「10時打ちすれば一つは取れるかもしれませんが、二部屋目を申し込む前に売り切れてしまうと思います。どうしても二部屋取るのでしたら、別々の駅でデュエットとソロを申し込むしかないですね。それでも取れるかどうかはわかりませんけれども。最近は1分かからずに売り切れてしまうんですよ」
この時『10時打ち』という言葉を知りました。
1ヶ月前の10時から列車の指定席は発売されます。
発売と同時に申し込む事を『10時打ち』と言うそうです。
現時点で北斗星の切符は手に入らない事はわかりました。
さっと中古カメラを見てから帰宅。
北斗星ツアー
ネットで『北斗星 ツアー』を検索。
「なんだ、北斗星のツアーを募集してるじゃん。ツアーに申し込もう」
『阪急交通社』 『クラブツーリズム』 『ANA』 『JAL』 『近畿日本ツーリズム』 の五社が北斗星のツアーを募集していました。
ホームページを見てみると、個室は全てキャンセル待ち。
値段と日程を比べて『クラブツーリズム』の3泊4日のツアーにキャンセル待ちの申し込みをしました。
翌日になっても翌々日になってもキャンセルは出ません。
キャンセル待ちしていてもキャンセルが出なくて北斗星に乗れないかもしれない。
学校があるので、金曜日の北斗星に乗って日曜日の飛行機で帰る予定を立てていましたが、日にちを指定していては北斗星の切符は手に入らないかもしれません。
その後、北斗星は4月から8月までは臨時列車として走る事を知りました。
4月2日の北斗星の切符が取れれば学校を休まずにすみます。
北斗星のツアーを売っている旅行会社に電話をしましたが、4月以降の北斗星は、まだ割り当てがあるかどうかの連絡が無いので、ツアーを組めるかはわかりませんと言われました。
嫁さんと二人で3月2日に別々の駅で10時打ちして取れる事を祈るしかないのか・・・。
プラチナチケットをゲット
もう少し他を探してみました。
この日は1月27日なので、2月27日の金曜日までの切符が売り出されています。
2月27日の北斗星の切符を求めて旅行会社に電話を掛けました。
大手旅行会社は全て売り切れ。
7件目に電話を掛けた旅行会社は『アバンティリゾートクラブ』という会社でした。
聞いた事のない旅行会社でしたが、北斗星のツアーを募集していたので、ダメ元で電話してみました。
個室は全て売り切れ。開放寝台もバラバラで2席はあるけれど、まとまっての3席は金曜日の列車では無いとの事。
やっぱりダメか・・・。
電話を切って次の旅行会社を探そうと思った時、「三席ですと3月3日と3月9日ならお取りできますが・・・」
日にちを指定していては北斗星には乗れそうもありません。
隣で電話の様子をうかがっていた嫁さんに言うと、「学校を休む事になるけど・・・」
「いいよ、休ませちゃおう」と、わたし。
息子は学校を休ませる事になりますが、在る時に押さえておかないと売れてしまうかもしれません。
「では3月3日の北斗星3席お願いします」
夕方、学校から帰ってきた息子に北斗星の切符が取れた事を伝えました。
「ぼくもブルートレインに乗れるんだ!やったー!」
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