将棋

木村一基王位誕生

第60期王位戦七番勝負第7局が、去る令和元年9月25日から26日に掛けて指されました。
挑戦者の木村一基九段が角換わりの後手番で見事勝利。
対戦成績4勝3敗で豊島将之王位を破り、自身初タイトルの王位を奪取しました!

 

木村先生、おめでとうございます。

 

 

スポンサーリンク

 

 

木村先生との出会い

木村王位

木村先生と初めてお会いしたのは、2000年(平成12年)3月19日に千駄ヶ谷の将棋会館で行われた「グローイングアップ2000」というイベントでした。

このイベントは、高野秀行四段(段位は当時。以下同じ)をリーダーに、高野四段の一つ年下で同い年だった野月浩貴四段、木村一基五段、行方尚史六段が中心となって企画された、若手棋士による将棋イベントでした。

 

わたしが将棋を始めたのは1990年代前半の頃でした。

将棋を始めてNHK杯を見るようになりました。

画面には記録係の野月三段が映っていました。

その後、野月三段は奨励会の三段リーグを勝ち抜いて、見事に四段昇段。

比べるなどというのはおこがましく畏れ多いのですが、レベルはまるっきり違えど、同じ攻め将棋という事で野月先生のファンになりました。

野月先生に会えるという事で「グローイングアップ2000」へ参加しました。

受付で指導対局は行方六段と告げられました。

参加者の多くは、唯一のタイトル経験者である屋敷七段と指したいと思っていたのではないでしょうか。

でも、わたしは野月先生がお目当てでした。

しかし、そんなにうまく野月先生の指導対局に当たるわけもありません。

行方六段に二枚落ちで教わる事になりました。

写真のサイン入り布盤は参加記念として用意されていたプレゼントです。

 

かずきファンになる

「グローイングアップ2000」では、参加者を半分に分け、指導対局とイベントに分かれて行われました。

わたしは前半イベント、後半指導対局となりました。

わたしの参加したグループは行方尚史六段、木村一基五段、野月浩貴四段、佐藤紳哉四段の担当。

イベントでは目隠し将棋を目の前で観戦。

じゃんけんの結果、対局は木村一基五段と野月浩貴四段、解説が行方尚史六段と佐藤紳哉四段になりました。

相掛かりから野月四段が攻めて優勢に。

目隠し将棋を指すだけでも凄いと思うのに、解説者が対局者に質問したりして途中で邪魔が入ります。

それでも間違わずに最後まで指して野月四段が勝利。

目隠し将棋の後はプロ棋士への質問コーナー。

目隠し対局の最中もそうでしたが、質問コーナーでも木村先生のトーク炸裂で大爆笑。

木村一基といえば解説名人として将棋ファンの間では有名ですが、わたしはこのイベントでいっぺんにかずきファンになりました。

 

約束

木村王位

「グローイングアップ2000」に参加するにあたり、将棋会館一階にある購買部で白扇を購入しました。

その白扇にイベントに参加した棋士全員からサインを頂きました。

 

木村先生にサインをお願いする時、「先生のお話が面白くて、今日先生のファンになってしまいました。先生を応援しますので、是非タイトルを取ってください。木村先生がタイトルを取ったら、また扇子を持って会いに行きますから、その時にまたサインを頂けますか」と問いかけました。

「はい、もちろん。喜んで」

木村先生は笑顔で約束してくれました。

 

再会

木村王位

木村先生と初めてお会いしてから八ヶ月後。

「グローイングアップ2000 vol.2」が開催されました。

 

イベントでは『ついたて将棋』を生観戦。

指導対局では五段に昇段した野月先生との二枚落ちでの対局でした。

前回指せなかった野月先生と対局出来てうれしかったです。

が、木村先生とも指してみたいと思っていたので、嬉しさ半分といった感じでした。

 

前回のようにサイン入り布盤をお土産に頂きました。

 

木村王位

vol.2でも白扇を用意して参加し、また全参加棋士からサインを頂きました。

野月先生との指導対局を受けられたので、次回は是非木村先生に当たりますように・・・。

 

しかし、グローイングアップ2001は開催されず、若手棋士によるイベントはしばらく見かけなくなりました。

 

著書

わたしは居飛車党なので、相手が飛車を振れば必然的に対抗形になります。

当然、『木村一基の急戦・四間飛車破り』はわたしの対四間飛車の教科書です。

 

 

木村先生との指導対局

グローイングアップ2000以来、木村先生とお会いする機会はありませんでした。

 

木村王位

時は流れて2009年4月6日。

満開の桜が咲き誇る駒込駅近くの中里公園。

順調に昇段を重ねて、グローイングアップ2000の時、若手五段だった木村先生はA級八段になっていました。

 

この間、木村先生は初のタイトル戦となる竜王戦に登場。

渡辺明竜王の初防衛戦に挑みました。

竜王を取ったら、約束通り扇子を持ってサインを頂きに行こうと思って応援していましたが、残念ながら敗退。

2005年の事でした。

 

木村王位

中里公園すぐそばのLPSA。

 

木村王位

LPSAマンデーレッスンのゲスト講師として木村先生登場。

木村先生の指導対局を受ける機会に恵まれました。

 

木村王位

12面指しの指導対局。

飛車落ちで教えて頂きました。

 

木村王位

 

棋譜に署名して頂きました。

「先生、グローイングアップ2000での約束は覚えていますか」

「はい、覚えていますよ。確か扇子にサインしたんですよね」

「竜王戦は残念でしたが、次こそはタイトルを取ってください。そして約束通りサインをお願いします」

「はい。がんばります」

 

木村先生は覚えていてくれました。

 

 

スポンサーリンク

 

 

タイトル戦

初タイトル挑戦

2005年にタイトル初挑戦した木村先生。

第18期竜王戦で渡辺明竜王に挑戦しましたが、残念ながら四連敗でした。

 

二度目のタイトル挑戦

タイトル初挑戦から三年後。

第56期王座戦で羽生善治王座に挑戦。

結果は木村先生の三連敗。

 

三度目のタイトル挑戦

わたしが指導対局を受けた二ヶ月後、木村先生は第80期棋聖戦挑戦者決定トーナメントを勝ち進み、挑戦者になりました。

 

今度こそタイトルを取ってくれと応援していました。

相手は羽生善治棋聖。

五番勝負は木村先生の負けから始まりました。

これで木村先生はタイトル戦八連敗。

タイトル戦では一度も勝てていません。

木村ファンの間では『和服での対局では勝てない』と嘆かれていました。

しかし、第二局に見事勝利!

第三局にも勝ち二連勝。

五番勝負は二勝一敗となり、残り二局のどちらかに勝てばタイトル奪取です。

しかし、残念ながら負け、負け。

 

四度目のタイトル挑戦

同2009年7月。

第50期王位戦で、今度は深浦康市王位に挑戦。

なんと木村先生が出だしから三連勝!

残り四局のうち一つ勝てばタイトルホルダーになります。

いよいよ木村先生がタイトルホルダーになると期待しました。

ところが、そこからなんと四連敗。

またしても目の前まで迫ったタイトルを逃してしまいました。

 

五度目のタイトル挑戦

タイトル戦から5年遠のいていた木村先生は、第55期王位戦の挑戦者となりました。

相手は羽生善治王位。

開幕局を木村先生が制して幸先良いスタート。

しかし、間に持将棋を挟んで三連敗。

第6局に勝って一矢報いましたが、第7局に敗れて、またしてもタイトル奪取ならず。

 

六度目のタイトル挑戦

二年後の2016年。

第57期王位戦の挑戦者に名乗りを上げた木村先生。

六度のタイトル戦のうち、半分の三度が王位戦です。

王位戦には相性がいいようなので、今度こそタイトル奪取をと願いました。

タイトル保持者は前回と同じく羽生善治王位。

タイトル挑戦六回のうち四回が羽生善治戦です。

開幕戦を飾った木村先生でしたが、第2、第3局を連敗。

そこから連勝して、三勝二敗としました。

タイトルまであと一勝。

今度こそ勝って、初タイトル最年長記録更新!

しかし、またそこから連敗。

さすがに43歳では、タイトル獲得の最後のチャンスだったと思われました。

 

七度目のタイトル挑戦

最後のタイトル挑戦かと思われた木村先生は、三年の時を開け、今年の王位戦で勝ち進み、見事に挑戦者として名乗りを上げました。

竜王戦、王座戦、棋聖戦というタイトルに挑戦してきた木村先生は、その後四回王位戦に挑戦する事になりました。

待ち受けるのは、名人でもある豊島将之王位です。

七番勝負は木村先生の二連敗スタート。

その後二連勝して五分に戻しましたが、続く第5局に負け。

やはりタイトル奪取は難しいか・・・。

後の無くなった第6局に勝って三勝三敗に。

勝負の最終局。

木村先生のタイトル戦、あと一つ勝てばタイトル奪取という勝負将棋は八局ありましたが、すべて敗北。

勝てばタイトルホルダーとなる九度目の挑戦。

第60期王位戦七番勝負の最終第7局は、令和元年9月25日、バブル期のクリスマスイブは大騒ぎをしていた、旧赤坂プリンスホテルの裏手にある都市センターホテルで始まりました。

三勝三敗の為、第7局は改めて振り駒。

木村先生は後手番となり、将棋は角換わりに。

午後6時に、手番だった豊島王位が封じました。

翌26日午前9時、封じ手を開封して対局再会。

難しい形勢が続いていましたが、夕方には木村先生が優勢に。

午後6時44分、遂にその時は訪れました。

豊島王位が投了を告げ、木村九段は木村王位となりました。

 

これで有吉九段が持っていた最年長初タイトル獲得の記録を、木村九段が37歳6カ月から46歳3カ月に塗り替えました。

 

どうする

わたしはLPSAから大野教室へ場所を変えましたが、将棋の自戦記をブログに書いていました。

会社で2015年に発覚したトラブルに巻き込まれ、しばらく将棋から遠ざかっていました。

当然ブログも書いてはいませんでした。

その間、藤井聡太フィーバーで将棋界は盛り上がっていました。

将棋人気を横目に、トラブル解決に日々追われていました。

2018年初頭に、ようやく会社でのトラブルが解決。

また将棋を再開しようと思った矢先、会社が同業他社に買収されてしまいました。

新体制となった会社での仕事が始まりましたが、思ったようには仕事が出来ませんでした。

昨年の3月に思い切って転職。

転職先には将棋部があったので、入社後すぐに入部しました。

また将棋を楽しもうと思っていたところ、目が見えずらくなり、眼科で診察を受けると白内障と診断されました。

昨年12月と今年1月に右目、左目と手術。

春先にメガネを作り、やっとメガネに慣れてきた今日この頃。

これでやっと将棋を楽しめるようになったと思われた時に、木村先生が王位奪取のニュースが伝わってきました。

 

約束通り白扇を持ってサインを貰いに王位就位式に行こうか。

でも、就位式は多くの関係者やファンが出席するので、サインは禁止でしょうか。

 

なにかのイベントにお邪魔するか、将棋会館へ会いに伺うか・・・。

いや、そもそもそんな約束は忘れてしまっているかもしれませんね。

LPSAの金曜サロン時代から大野教室に通っていた時までお世話になっていた、木村先生の兄弟子である植山先生にお願いしようか。

でも、いくら仕事と病気とはいえ、4年近くもご無沙汰してしまっているので、今更連絡もしずらいですね。

 

木村先生との約束は良い思い出として胸にしまっておくことにしましょう。

 

木村一基王位 通算成績(2019年9月26日現在)
1019戦  647勝  371敗  勝率0.636
(タイトル戦の持将棋1を対局数に含む)
木村一基王位のコメント
結果を出せたということは大変うれしいことです。今シリーズただただ無我夢中で一生懸命やった結果です。
王位戦では第1局、第3局、第5局と、いろんな方にお声掛けいただきました。
実際、力になりありがたく感じています。
年齢が40代の半ばになって、現実的にはどんどんきつくなってるなということも感じています。
タイトルを取れたということに関しては、よくできたなと思いますし、これから先もどんどんきつくなってくんだろうなということも実感してます。
意識しても防ぎようがありませんので、自分なりに技術的な研究の時間を増やして、これからも頑張っていきたいと思います。

引用元:木村一基九段、初タイトル獲得最年長記録を更新

スポンサーリンク

-将棋

© 2021 RAYの遊びdeGO