将棋合宿 in わらび山荘1日目の様子 part1
2011年4月22日から24日まで、二泊三日の将棋合宿に参加させていただきました。
大野先生・植山先生・中井先生のプロ棋士三名と、駒込金曜サロンアフターメンバーが10名と、蕨市役所将棋部から4名の計17名での合宿です。
蕨市役所将棋部に中井先生が指導に行っていた関係で、将棋部の方々も参加することになったようです。
午後3時頃に『信濃わらび山荘』到着。
管理棟でチェックイン。
階段をのぼった先が宿泊棟。
これが今回寝泊りする宿泊棟。
宿泊棟の中心にあるラウンジスペース。
ラウンジの周りにベッドが六つある部屋が七部屋あります。
荷物を置いてベッドメイクをしてから食堂棟に集合です。
中井先生の挨拶で合宿スタート。
まずは植山先生が一言。
続いて大野先生が一言。
このあと参加者全員が一言ずつ自己紹介。
自己紹介が終わり、早速大野先生のミニ講座からプログラム開始。
美濃囲いの端を詰めると、詰ますのに金銀三枚違うという話。
ここまでなら初級の本にも書いてある事ですね。
重要なのは金銀三枚取る事と端を詰める事が同じ価値だという事。
只で金駒を三枚取れたとしても三手かかります。
それが▲9五歩と突いて、次に▲9四歩と取り込んで△9二歩と受けさせると一手で金駒三枚取るのと同じ効果があるということです。
次は植山先生の内弟子時代の思い出話し。
ハッキリ言って棋力向上には全く役に立たない話しでしたが(笑)、楽しい話を聞かせてくれました。
ミニ講座の最後は中井先生。
少し悪い局面で逆転する為の指し方を教えてくれました。
中井広恵女流六段戦
ミニ講座が終わり、テーブルに盤を並べて対局です。
中井先生との十一局目となります。
いつもの指導対局とは違い、この対局は10秒の二面指しです。
下手は一手10秒以内に指します。
中井先生はそれぞれ時計を押されると10秒のカウントダウンが始まります。
感想戦
22手目の▲7七角が不急の一手で、この一手の遅れが大きくマイナスに働いてしまいました。
37手目の局面で指せると考えた大局観が大間違いで、すでに上手良しの形勢となってしまいました。
角銀交換の駒損でも飛車が成り込めたのなら下手が指せたかもしれませんが、単純に角と銀を交換したのでは紛れてしまいます。
10秒将棋は初めてでした。
全く手が見えなくて焦りまくりでした。
中井先生、ご指導ありがとうございました。
将棋合宿 in わらび山荘1日目の様子 part2
一局指した後、一日目の夕食。
何も無かったラウンジスペースに各部屋からテーブルと椅子を持ち出して並べ、食堂から盤駒を運んで対局場の出来上がり。
みんなで総当たりのリーグ戦を指していきます。
一日目は先生に負けた以外は全て勝ちで6勝2敗と、絶好調でした。
結局2時頃まで指して床に着き、一日目終了。
将棋合宿 in わらび山荘2日目の様子
7時に携帯のアラームをセットして眠りに就いたのですが、アラームのなる10分位前に目が覚めました。
睡眠時間は4時間ちょっとでしたが、それほど眠くは無く、頭はスッキリしています。
顔を洗って食堂へ。
食堂へ入ると朝食は用意されていました。
席に着いて食べようと思ったら、大野先生とWさんが茶碗やお皿を持って離れた席へ移動を始めました。
何か内緒の打ち合わせでもするのかと思ったら、「納豆の匂い(お二人にはこちらの『臭い』なのでしょう)が駄目だから、あっちで食べます」
「えぇ~っ!こんなにおいしいのに~」と、中井先生。
Wさんは「こんな臭い物、人間の食べる物じゃありませんよ」
納豆好きのわたしは「日本人に有るまじき発言だ!」
食後は宿泊棟に集まり対局。
Honさんと平手で負け。
paraさんとは角落ちの手合いなのですが、初手から30秒のハンデで平手で対局。
10秒の違いは大きいようで、高段者は30秒あると酷い悪手は出ませんね。
全く良い所無く負かされました。
お昼になり、後発隊と合流すべく最寄り駅の信濃川上駅へ向かいました。
KKさん、俊さん、よっしーさん、KBTさんの4人が二両編成のディーゼル車から降りてきました。
みんなで駅前の食堂に入り昼食。
わらび山荘へ戻り、後発の4人と、同じく土曜から参加の蕨市職員のTさんの自己紹介の後、二日目午後のプログラムの開始。
先ずは『詰め将棋トライアル』
中井先生が説明。「上級と中級の問題があります。上級は5手と7手、中級は3手と5手で、それぞれ8問、時間は30分です。早く終わった人は解答時間も書き込んでください」
「すいません、初級はないんですか?」と、わたし。
「何を言ってるんですか。初級などありませんよ。それでも、そんなに難しくはありませんからスラスラ解いてください」と、植山先生。
中井先生が答えを発表。
その間、植山先生が採点。
わたしは4問解答したところでタイムオーバー。
答えた4問は正解でした。
続いて『大局観トライアル』
プロの実戦の、中盤から終盤にかけての難しい局面でどう指すかを問う問題です。
同じく8問30分。
こちらはとりあえず全問答えましたが、プロが実戦で指した手と同じだったのは1問のみ。
植山先生と大野先生も参加しましたが、お二人の解答は一致しませんでした。
これは棋風にもよるので、どちらが正解ということではないのでしょう。
中井先生が局面の解説。
この局面でのわたしの解答は▲2四桂でしたが、実戦は▲5二歩と叩き、△同金と形を乱してから▲2四桂でした。
3二の金に働きかける着眼点は間違っていなかったのですが、▲5二歩が見えるかどうかが勝負を大きく左右するんですね。
トライアル終了後、参加者全員で記念撮影。
宿泊棟ラウンジの対局場へ移動して対局。
二日目の夕飯。
ここでも後の対局を考えてビールは一杯だけでガマンしました。
また対局場へ戻って実戦。
中井先生と対局中の俊さん。
その俊さんがわたしに「一公さんに平手で勝ったんですってね」
わたしは満面の笑みを浮かべて「そうなんですよぉ~。もう聞いてるんですか」
「一公さんは悔しがってるんじゃないんですか」
「みたいですねぇ。でももう合宿では一公さんと指さないで勝ち逃げします(笑)」
俊さんにも一公さんと同じ条件での対局を望みましたが、俊さんは早指しは苦手だからということで飛車落ちで対局。
また負かされました。
俊さんには飛車落ちで全敗です。強いですねぇ。
ここまで合宿では負け無しで、二十数連勝中の大野先生に角落ちで挑むKKさん。
だれが最初に大野先生に土を付けるのかが合宿の話題の一つでしたが、KKさんが見事にその役を果たしました。
「おぉ~っ、すごい」
「やりましたか!」
「ついに大野先生が負けたか」
どよめきの中、KKさんの健闘を称える拍手が送られました。
最後の対局の感想戦が終わったのがこの時間。
遅くまでお付き合いしていただき、ありがとうございました。
それにしても、みんな好きですよねぇ。
将棋合宿 in わらび山荘3日目の様子
朝食は7時半からなのでギリギリまで寝ていようと7時725分にアラームをセットしていたのですが、一度目のアラームでは起きられませんでした。
スヌーズ設定していたので、数度目のアラームで気が付きました。
起きて部屋を出ると俊さんとよっしーさんが対局していました。
この二人はなんてタフなんだろう。
食堂へ入るとみんなほぼ食べ終わっていました。
急いで食事を済ませ、部屋を片付けてチェックアウトの準備。
対局場となっていたラウンジも片付けて、再び盤駒を食堂へ移動。
三日目のプログラムのスタート。
合宿の目玉企画、『サイキョウ戦』です。
合宿の開催が決まって、ジョナ研で合宿の話をしている時にわたしが提案しました。
みんなで賞金を出し合ってプロの本気の将棋を観戦するというものです。
その後、大野教室の放課後で大野先生と植山先生にオファーを出したのですが、大野先生が「本当は中井・植山戦が観たいんでしょう」
「まぁ、そうなんですけど、植山先生は嫌ですよねぇ」
植山先生は「勘弁してくださいよ(笑)」
当日まで植山・大野戦だと思っていましたが、幹事のWさんが植山先生をうまく丸め込んだ様で(笑)、結局中井・植山戦が実現することになりました。
駒を並べて開始を待つ両対局者。
蕨市の職員さんが振り駒。
歩が三枚で植山先生の先手に決まりました。
一公さんが盤側に座って、棋譜を取りながら指し手を読み上げていきます。
よっしーさんが聞き手を勤めて、大野先生が解説してくれました。
盤が厚くて盤面が高くなってしまったので、中井先生は椅子に正座で対局していました。
よっしーさんが機転を利かしてチョークで書いた形勢判断メーターを使いながらの解説。
LPSAのイベントなどで大野先生の解説を何度か聞いていますが、とにかく面白いです。
「身内だけだからこんな事も言えるんですけど」と言っていましたが、テレビでもこういう解説をしてくれたら面白くなるんですけどねぇ。
解説会に行った事の無い人は是非一度行くことをお勧めします。
もちろん自分で指すことも楽しいのですが、将棋を観戦するのがこんなに楽しいものだったのかと気付かされる事と思います。
かなり本気モードの対局者。
『サイキョウ戦』の棋譜を紹介します。
持ち時間は20分。使い切ると一手60秒です。
わたしにはプロの将棋を語ることは出来ないので、コメントは入れていません。
大野先生の形勢判断メーターの動きは、序盤はずっと互角。
中盤はほんの少し先手良しでした。
それでは植山妻恐対中井妻強(笑)の一戦です。
植山先生が端から先攻した時はハラハラしながら中井先生を応援していました。
中盤から終盤の入り口あたりまでの捩じり合いは、一手指した方が良く見える、手に汗握る熱戦でした。
植山先生が「負けました」と言って駒台にそっと手を添えると、なんと中井先生は両手を上げて『バンザイ』のポーズ。
大野先生も驚いたように「バンザイしてますよ!」と笑っていました。
咄嗟の事で、カメラを向けた時には手を下ろしていました。
対局者が大盤で感想戦。
「さっきのバンザイは写真に撮れてないから、もう一度バンザイをして」と大野先生に促がされて、中井先生が再度バンザイ。
それを見せられて泣く植山先生(笑)。
いやぁ、それにしても素晴らしい将棋でした。
勝敗を分けたのは勝つ気満々の中井先生と、乗り気でなかった植山先生の気合の差でしょうか。
合宿の会費はこの一局の観戦料として払っても安いと思いました。
この後幹事のWさんから、発案者として賞金のプレゼンターに指名されたので、わたしが中井先生に賞金を手渡しました。
出発までまだ時間があったので、大野先生は一手20秒の三面指しを始めました。
それを見ていた中井先生は「じゃあ、こっちで10秒の二面指しをしましょう」
よっしーさんとparaさんが最初の対局者に。
二組目の対局者としてわたしとWさんが指してもらいました。
自分の写真も欲しかったので、よっしーさんに撮ってもらいました。
手合いは二人とも飛車落ちです。
10秒将棋は初めてでした。
まったく手が見えませんねぇ。
今ではわたし以上の飛車落ちスペシャリストのWさんもボコボコにされていました。
当然わたしも一度も王手を掛ける事無くボコボコにされました。
『妻強』恐るべし!
『中井妻強』は『強い妻』ではなく『恐い妻』の『妻恐』なのかもしれません(笑)。
10秒将棋なのでどんどん終わっていきます。
これはHonさんとKKさんの対局。
10秒将棋が終わって、最後の残り時間でリレー将棋。
1チーム4人で、30秒以内に一手指して次の人に交代していきます。
その中で印象に残った一手。
細かい駒の配置は覚えていないので違っているかもしれませんが、こんな感じの局面で自分の番が回ってきました。
棋風からいって攻める手を指したかったのですが、次に△8六角と出られると玉がいっぺんに狭くなってしまいます。
迷った末に「悪い手かもしれないけど…」と言って▲7六金と打ちました。
それを見ていた大野先生が「教室の成果が出ていますねぇ」
局後にこの手の事をたずねると「こういう手厚い手が指せるようになったんですから、強くなっていますよ」と、大野先生。
帰りにKKさんにも聞いてみると一目▲7六金と打ちたいと思ったそうです。
左辺の攻めを受けて玉を安全にしてしまえば、後は攻めの楽しみの残る局面になるという大局観だそうです。
わたしは貴重な金を投入することに違和感を覚えつつの指し手でしたが、これは悪手ではないとの大局観を持てるようになれれば、少し進歩出来たのでしょう。
最後に成績優秀者から順番に賞品の授与。
最多対局や最高勝率などが上位で表彰されましたが、今合宿での殊勲は大野先生の連勝を止めたKKさんでしたね。
宿を出る時に記念撮影。
みんな金曜サロンの常連だったメンバーです。
この他にも数名の金サロ常連メンバーがいたので、金曜サロンは常に15人位は集まっていました。
この他に朝帰途に就いた蕨市役所将棋部の4人で17人の合宿でした。
三日間は食べる、風呂、寝る、以外のすべての時間を将棋に費やしました。
とても楽しく有意義な合宿を開催していただいた植山先生、大野先生、中井先生に心から感謝いたします。
ありがとうございました。
年二回は大変でしょうから、せめて年一回の将棋合宿を続けていただけたらと思います。
す~っごく楽しかったので、次回(があるかどうか分かりませんが)の合宿にも絶対参加したいと思います。
対局情報
対局日 :2011年4月22日
棋 戦 :大野教室将棋合宿
対局場所:信濃わらび山荘
飛車落ち対戦成績
○
●●○○○○
●●●○○○○●●○
●○
●○○○●○●●○○
○○●●●●●●
○○●
●●●●●○
●●○●
●○○○
●●●●●○●○●●
●●
●
前局はこちら
第二百三局 大野八一雄七段戦
次局はこちら
第二百五局 石橋幸緒女流四段戦